2026/10/15

【No.152】「ITで何をするか」より「ITで何が変わるか」

※MA:マーケティングアドバイザー かわもと部長:次代のホープとされる今風の営業部長
真弓課長:企画部のやり手マネージャー兼SE

---「今回の会話のポイント」---
20年前、企業のIT活用について「ITを導入することが目的ではなく、本業に役立ち、経営に成果をもたらすことが重要だ」と書いたことがあります。当時の主役はERPやCRM、ECサイトだった。それが現在ではクラウド、DX、生成AIへと進化。しかし、技術がどれほど進歩しても、企業にとってのデジタル活用の本質は変わらず、大切なのは最新技術を導入することではなく、自社の強みを生かし、売上や生産性、顧客満足度などの具体的な成果につなげることです。今回は20年前の原稿を振り返りながら、生成AI時代だからこそ考えたい「デジタル活用の要諦」を議論しています。
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MA
実は20年ほど前に「ITを企業戦略的に使う」というテーマで書いた記事を、久しぶりに読み返す機会があったんだ。そこで感じたのが、20年経った今でも、IT活用の本質は変わっていないんじゃないかということ。今日はその話をしようと思ってね。当時はCRM、SCM、ERPなどが、企業のIT戦略を語る代表的なキーワードだった。
かわもと部長
懐かしいですね。企業の情報システムを整備し、業務を統合して、経営を高度化する。そんな話が盛んだった時代ですね。
MA
ただ、自分は当時から少し違和感を持っていたね。特に中堅・中小企業にとって、大規模なITシステムを構築することが、本当に経営に役立つのかという疑問。
その原稿では、従業員十数人の地方の事務機・文具店を紹介した。中古コピー機をインターネットで販売したところ、国内だけでなく海外からも注文が来るようになり、売上が大きく伸びたという話だ。
真弓課長
今なら普通のネット販売に聞こえますけど、20年前なら先進的だったでしょうね。
MA
ところが、その会社には立派な情報システムなどなかった。自社ホームページもなく、社員のメールアドレスもなく、請求書は手書き。それが、既存のネット販売サービスを使っただけで、商圏を一気に広げた。私はこれこそが「戦略的(効果的)なIT活用」だと感じたね。
かわもと部長
つまり、ITの導入水準と経営成果は必ずしも比例しない。自社の商品や強みを、ITによってどう生かすかが重要だということですね。

*** 20年で技術は変わった。しかし本質は? ***

MA
さて、それから20年。今やクラウド、SaaS、ノーコード、RPA、そして生成AIだ。以前なら数千万円かかったような仕組みが、月額数千円から利用できる時代になった。
真弓課長
生成AIなら文章作成、議事録、翻訳、資料作成、データ分析までできます。専門知識がなくても、かなり高度なことができるようになりましたね。
MA
その通り。技術を利用するハードルは劇的に下がった。でも、企業側の課題はどうだろう。
「何を導入すればよいか分からない」「導入したが使われない」「効果が見えない」。20年前とあまり変わっていないね。
かわもと部長
特に生成AIは、その傾向が強いかもしれません。とりあえず社員に使わせてみる。でも、何に使い、どんな成果を期待するのかが曖昧なままでは、単なる便利な道具で終わってしまいます。
MA
そうなんだよ。例えば生成AIで提案書を短時間で作れるようになった。それ自体は成果だ。でも本当に重要なのは、その時間を使って顧客との接点を増やせたのか、提案の質が上がったのか、受注につながったのかということなんだ。
真弓課長
「作業時間が半分になった」で終わらず、「浮いた時間で何ができたか」まで考える必要があるんですね。

*** DXも生成AIも、主役は本業 ***

MA
でね、中小企業のデジタル活用では、まず三つの問いを考えることが重要だと思うんだ。
第一に「自社の強みは何か」。第二に「経営や現場の何を変えたいのか」。第三に「そのためにデジタルをどう使うのか」だ。
この順番を逆にしてはいけない。
かわもと部長
例えば製造業なら、AIを導入することではなく、不良品を減らす、熟練者の技能を継承する、納期を短縮するといった経営課題が先にあるべきですね。
真弓課長
小売業なら売れ筋商品の把握、観光業なら顧客対応の充実、人手不足の企業なら業務の省力化。業種によって目指す成果は違いますよね。
MA
しかも、必ずしも最新のAIが必要とは限らない。既存の表計算ソフトやクラウドサービス、ネット販売、簡単な業務自動化でも十分な効果が得られる場合があるよね。重要なのは技術の高度さではなく、経営課題との適合性だと思う。
かわもと部長
ただ、最近はDXやAIの活用を評価するときに、導入率や利用率が注目されがちです。もちろん普及状況を把握する指標としては重要ですが、それだけでは経営への貢献は分かりません。
MA
まさにそこだね。例えば生成AIを社員の8割が使っている会社と、2割しか使っていない会社があるとする。でも後者が顧客対応の時間を大幅に短縮し、売上まで伸ばしていたら、どちらが優れた活用をしているんだろうね。
真弓課長
利用人数や利用回数だけでは判断できません、数字の見方を変える必要がありそうです。
MA
これからは「何を導入したか」ではなく、「何が改善されたか」「どんな新しい価値が生まれたか」をもっと問うべきだと思うんだ。そして、もう一つ重要なのが支援するIT企業の役割だ。
かわもと部長
製品やサービスを売るだけでなく、顧客企業の本業を理解し、何が経営成果につながるのかを一緒に考える。いわゆる伴走支援ですね。
MA
そうだね、20年前も、ベンダーが売りたいシステムと、中小企業が本当に必要としているものとの間には隔たりがあった。今もその構造は残っていると思う。
ただし、生成AI時代にはIT企業自身も変わらなければならない。技術の説明だけでは価値を生み出せない。顧客の経営を理解し、成果を共につくることが、これまで以上に求められるんだよね。
真弓課長
こうして考えると、20年前の原稿は今でも十分通用しますね。
MA
むしろ生成AIが登場した今だからこそ、重要性が増していると思う。誰もが高度な技術を使える時代になったからこそ、技術そのものでは差別化しにくくなった。差を生むのは、自社の強みや顧客を理解し、技術を使って何を実現するかという発想だね。
かわもと部長
DXも生成AIも、導入することがゴールではない。経営を良くするための手段だという、当たり前の原点ですね。
MA
なので20年前に書いた「ITそのもので儲かるわけではない」という言葉を、今なら「生成AIを導入しただけで企業が成長するわけではない」と言い換えたいね。
大切なのは、デジタルを使うことではなく、デジタルによって本業を強くすること。
20年前も今も、そしてこれからも、デジタル活用の主役は技術ではなく、企業の経営そのものなんだよね。

---編集後記---

真弓課長
今回の話を聞いて、生成AIを使って資料が早くできたと喜んでいるだけでは、まだ入口なのだと感じました。浮いた時間で何をするのか、仕事の質やお客様へのサービスがどう変わるのか。そこまで考えて初めて、本当の効果になるのでしょう。
それにしても20年前の中古コピー機の話、面白いですね。立派なシステムがなくても、アイデア一つで世界に商売を広げられる。今なら生成AIという強力な味方もいます。大切なのは、何を実現したいかという思いなのかもしれませんね。

営業スタッフ徒然草

営業職での生成AI活用

みなさん、こんにちは。
エイデイケイ富士システム営業スタッフの渡辺です。

今回のテーマは、普段の業務で生成AIをどのように活用できるかについてです。

社内では、生成AIを活用した事例をよく耳にします。
障害内容の分析や対策検討の支援などに活用されており、業務の効率化が進んでいるように感じています。
一方私はというと、開発チームの目覚ましい活用成果に比べると微々たるものですが、生成AIに「こんなことできる?」といろいろお願いして、活用の幅を広げている最中です。
今回は、生成AIを活用していく中で気づいたポイントをまとめていきます。

■私が活用している業務
私自身は主にMicrosoft Copilotを利用しており、下記のような業務で効果が出ていると感じています。
・メール文言の言い換え
・Officeソフトのサポート
・議事録メモの整理
・機器管理

あまり高度な使い方ではないかもしれませんが、ではなぜ「効果が出ている」と感じたのか、改めて振り返ってみました。
これらの業務に共通しているのは、「調べる」「整理する」「まとめる」といった、時間のかかる作業だという点です。

■メール文言の言い換え
最も利用頻度が高いのは、文章の作成支援です。
営業活動では、お客様との調整にあたって、メールなど多くの文章を作成する機会があります。
しかし、「文章が分かりにくい気がする。」「少し表現が硬すぎないかな。」「もっと丁寧な言い回しにしたい。」など、自分が書いた文章に不安を感じることも少なくありません。
そのような場合にCopilotへ表現の言い換えを依頼すると、伝えたい内容や意図を維持したまま読みやすい文へと言い換えてくれて、メール作成にかかる時間の短縮につながっています。
ただし、文章まるごとを入力すると機密情報が含まれる恐れもあるため、社内ルールに従って情報を適切に取り扱いながら利用する必要があります。


■Officeソフトのサポート
提案資料のスライド作成に欠かせないPowerPointや、見積積算から手順書作成まで幅広く使えるExcelにも、作業支援として役立っています。

【PowerPoint】
・見やすいレイアウトの相談
・スライド構成の改善案
・機能の使い方確認

【Excel】
・関数の調査
・関数の組み合わせ作成のサポート
・データ整理方法の提案

ここでの利用内容は、従来であればインターネット検索で逐一調べていたような内容です。
複数のページを確認しながら必要な情報を探すこともありましたが、Copilotを利用すると、知りたい内容に早く辿り着くことができます。
想定と違う結果が出ても、対話形式で回答をブラッシュアップさせていきますので、資料作成やデータ整理も速く進められるようになりました。


■議事録メモの整理
会議後の情報整理にも生成AIを活用しています。
会議ではよく議事録メモを作成しており、あらかじめ議題が決まっているときや、前回会議からの見直しを行う場合などは、そのメモに書き加える形で会議を進めていきます。(その場で書いていくので、他の参加者にも議題の結果が見えて、意見がまとまりやすいです。)

会議によっては議事録メモもあまりきっちりしたものではなく、テキストファイルなどで簡単にメモ書きすることも多いです。そのまま残しておくと内容が断片的になりがちですので、社内ルールに従い機密情報を適切に加工した上でCopilotへ入力することで、内容を整理して分かりやすい議事録としてまとめてくれます。
この議事録まとめで便利だと感じるのは、下記の点です。

・要点の整理
・決定事項の抽出
・今後のタスクの洗い出し
・表記の揺れの修正
・カタカナ表記の英語表記への統一(「アウトオブメモリー」と書いたら、ちゃんと「Out of Memory」と書き直してくれて、自分のズボラさ加減が申し訳なくなりました。)

単なる文章要約だけでなく、後から読み返しやすい形に整えてくれますので、会議内容の共有やタスク管理がスムーズになっています。


■機器管理への活用
直近で特に効果を実感したのが、機器管理業務です。
大量の種類の機器を一覧表にまとめる業務がありましたが、ここでもCopilotが活躍しました。
内容としては、必要な情報のみを利用して機器情報を抽出し、型番など管理に必要な情報の整理を支援してくれます。また、写真から判断できなかった場合でも候補となる機種の調査を支援してくれます。
それらの情報を基にメーカーサイトで最終チェックすることで、情報の確認作業を効率化することができました。
通常であれば、型番ごとに検索を行い、複数のWebサイトを確認したり、ページ内のあちこちを見たりして、情報を集約する必要があります。いざ人手でやろうとすると手間も時間もかかりますが、情報収集から整理までの速さが非常に魅力的でした。


■「検索ツール」のその先へ
Copilotを使い始めた頃は、「Googleで検索した方が速くて確実だな」と考えることもありましたが、単なる調べ物のためだけに使っていたのでは、その良さは実感できなかったかもしれません。
上記の事例でも触れた通り、営業職の業務では、
・お客様対応
・情報収集
・提案資料作成
・社内報告
・スケジュール調整
など、多くの業務を並行して進める必要があります。
情報を整理して、活用しやすい形へ変換してくれるという点では、生成AIのサポートは営業職と非常に相性が良いようです。

なお、生成AIを利用する際は、社内ルールやお客様との契約内容を確認し、機密情報や個人情報の取り扱いには十分注意しています。
ルールに沿った形で生成AIとの付き合い方を身に付けていくことで、より大きな成果を出すことができます。


■最後に、こんなものもあります
最近よく目にする「AI PC」。文字通り、AI処理に特化した機能を搭載しているパソコンです。また、ローカル環境で処理を行うAI機能を利用することで、用途によってはクラウドへデータを送信せずに利用できる場合があります。

資料作成や文書要約、情報整理などの業務をさらに効率化したい方におすすめですので、まずはメール作成や議事録整理といった身近な業務から試してみることで、生成AIの便利さや業務効率化の効果を実感できるはずです。
ご相談や困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせください。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

<DXに関するお問い合わせ>
エイデイケイ富士システム株式会社
DXセンター DX担当まで
Email:dx-lab@adf.co.jp

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あきたDX通信>>>>> 編集長 伊嶋謙二 /// 編集スタッフ 伊藤真弓 澤田亜弓 /// 主幹:五十嵐健 /// エイデイケイ富士システム株式会社

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