2022/08/18

【No.47】夏休み明け「特別セミナー編」

編集長 伊嶋謙二

中小企業にDXは無理じゃね?

中小企業にITの導入を勧めるのには、「誰でも創意工夫でなんとかなる」という話の方が、ウケがいいですね。思い切って大きなお金を投じてかっこいいシステムを作ったといっても、「ふーん、そうなんだ」で流されてしまう。それよりも、「前々からの地酒を作っていた会社が、ホームページを工夫したら爆発的に売れた」といった話の方が、みなさん真剣に聞いてくださいます。

多くの企業の方は、インターネットを始めるときにホームページは作ったけれども、それで別に何も変わらないし、何年も更新しないまま放置しているけれども誰にも相談できない、という会社が、特に地方には、何十万社とあります。そもそもどうしてホームページを作ったかといえば、ホームページを作れば企業の信用度が上がるとか、いい人材が採用できると言われて作ったものが多かったと思います。でも、誰も効果は検証していません。むしろ放置して更新していないホームページのほうが信用できないということすら知らない。

経営資源であるヒト・モノ・カネのうち、中小企業の悩みは圧倒的にヒトではないでしょうか。人が入社してくれない、育たない、あるいは育ったらすぐにやめてしまうというところです。大企業のようにブランドを育てる、大きなキャッシュフローを動かす、マーケティングで市場を動かすといった楽しさが少ない中で、何をインセンティブにして人を定着させるか、ということですね。

地方の中小企業になるとさらに問題は深刻です。地方には根本的な問題が存在していて、そもそも地域に人が定着しないという傾向が強くあります。大学を誘致したら若い人が集まるのではないかと考えて大学は作ってみたけれど、卒業しても働くところがないから、優秀な人材は地域には残りません。ITという視点でみても同じで、地方にはITのことを相談したい中小企業はたくさんあるのに、地方でIT企業といえば結局都会の大手ベンダーの二次請け、三次請けになってしまって、地元のお金が地元で回るエコシステムができていない。

地域ごとにITの事情というのは千差万別で、調べていくとある地域のITは電力会社が根っこを押さえているとか、○○県の役所関係はその県に大きな工場を持っているベンダーが高いシェアを占めているとか、いろいろなことが分かります。また、我々のリサーチだけではなく、経済産業省などが行っている調査もたくさんありますが、あまり活用されているとは言えない状況です。そうしたデータも活用しながら、地域ごとにITを使ってどのように中小企業を元気にするエコシステムを構築していけるのかを考えていければと思います。ITとかDXとかのベースとなる「役立つ情報の活用」というのがとても大事です。

地方のインフルエンサーをつかめば儲かる小規模B2Bができる

ITベンダー(いわゆるITメーカー)にとって、東京、名古屋、大阪などの大都市圏は企業が密集しているので、商売も効率的に行えると思われています。それ以外の地方はできるだけ販売店(ベンダーが直接販売するのではなく、仕入れて間接販売する代理店)に任せています。もちろん、工場や保守拠点がある場所などは別ですが。ボリュームは主要都市の主要販売店が主要顧客に売ることで稼いでもらって、あとは官庁や自治体などにそこそこ売れていればいいと考えています。

地方の中小企業は十分にITの面倒を見てもらえているとは言えません。ならばITを販売するライバルがいないところに行けば売れるだろうと思いがちですが、売れたとしても果たしてそれで採算が取れるかは疑問です。だから、ITベンダーはそこで商売をしようとしません。おそらく地方中小企業は、ベンダーからの提案を直接受けたことはほとんど無いと思います。従業員数20人未満の企業なんて、なおさらそうでしょう。

そこで採算を取ろうと思ったら、事務機販売大手の「〇〇商会」方式でやらないとうまくいかない。どういうものかというと、彼らはまず、コピー機を売りました。コピー機があるからサポートのために定期的に訪問する口実ができる。訪問したら、用紙やトナーなどのサプライ品を売るだけでなく、パソコンや通信機器なども提案して売っていく。コピー機を売った会社に対して、ストックを積み重ねていくというビジネススタイルです。

東京のように企業が密集していればいいのですが、地方では訪問するための効率がよくないので、これまでベンダーは手を出したがりませんでした。でも、中小企業は、「ここで買う意味」をちゃんと理解すれば、「値引きしろ」とか言わずに言い値で買ってくれる、良いお客様になると思います。小口取引というのは、売上は小さくても利幅は大きいはずなので、数がまとまればそれなりの利益になるはずです。とにかくITのことならワンストップでここに頼めばいいと思ってもらえれば、「町の電気屋さん」のような頼りにされる存在になれば可能性はあります。一歩踏み込んで「三河屋のサブちゃん」と呼んでもいいかもしれない(笑)これが実はDXの始まりです。

いったん信頼関係ができてまるごと任せられる相手ができれば、中小企業は浮気しません。少々安い値段で「パソコンだけ売りますよ」という別の業者がいても、普段自社のシステムも社長のパソコンも全部一人で面倒を見ている人には、いざ問題が起きると手に負えなくなりますから、「ものだけ売りに来る」という人には頼みません。

まして、ネットで調べて新しいベンダーを探すとか、新しいサービスを探すなんてことはしないでしょう。地方の20人未満の企業が新しい情報を仕入れるのは、ロータリークラブや、商工会の集まりといったリアルな場です。その場で、インフルエンサーである○○さんが「このサービスを利用してうまくいったよ」とレビューすると、じゃあうちもやろう、という人は多いと思います。地方でB2Bのビジネスを成功させようと思ったら、このようなインフルエンサー(頼りになる助言者、企業、団体など)を狙うのが鉄則です

さてこの頼りになる、インフルエンサー、DX提案者はそばにいますか?そんな存在になれますか?

暑い夏を乗り切って、元気を取り戻す2022年の後半へ進みましょう!

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※この原稿は、編集長の伊嶋が、ある媒体のセミナーで話した「ホンネのITマネジメント」を現在の秋田県に置き換えて、そしてDXの本質について、脚色した内容です。とっても身につまされる話です。いつまでたっても同じ課題が繰り返されていますが、少しずつ進んでいると信じて、この原稿を書いています。なお、セミナー形式で、中小企業やIT販売店向けに語り掛ける、というテイストです、今回は。

花火シーズンど真ん中!

3度目の登場、花火の街出身の榊田です。

 今回は、なんと8月発行でまさに花火シーズン"ど真ん中!" ということで花火について書きます。
私は出身・在住とも大仙市大曲・・・と言えば "大曲の花火" ですね。本メルマガはDX通信とうたっていますので・・・よろしくお願いします。

 今年は2年間の空白を挟み、8/27に開催されます。小さな頃から毎年見る花火ですが、昔は神社のお祭りに始まり、単発モノから、仕掛け花火(キンチョウのCMも無くなってしましましたが)、スターマインがメインになっています。

 "大曲の花火" が最初と言われている "創造花火" は、音楽に合わせたり、型物(何かのマークやイメージを一発の花火にしたもの:ニコニコマーク等)新色を取込んだ独創性のある花火です。この花火の発火はどうやっているのでしょうか?
昔は打ち上げ会場をよく見ると、花火の打ち上げ筒近くに花火師が見えていて、手動による打ち上げでしたが、今ではそんなことはありません。全ての筒がケーブルで繋がり、電子式発火です。
花火は玉の大きさによって上がる高さや描く輪の大きさも異なります。それらに音楽を加え、どのタイミングでどんな大きさの花火を打ち上げるか?まさにキャンバスに絵を描くようなものだと思います。
先ほどの創造花火やスターマインは、パソコンによる発火制御を行っており、事前にシミュレーションできる仕組みがあります。
スターマインではそのシミュレータでプログラムを事前に組み合わせ、お試し打ちをする訳です。そんなシステムを作ったら楽しいだろうな・・・なんて思いはしますが。
実際の花火はケーブルを繋いで点火します・・・となると「あれっ無線は?ネットワーク機器は使えないのか?」なんて考えてしまうのですが、実際には観客が近く無線はかなり難しいようです。ケータイが繋がらないのとはまたちょっと違い、また雨が降る場合もあるので、精密機器の利用はできないようです。
 ちなみに人口を大きく上回る観客に対しては、携帯電話各社が臨時基地局を設置しますが、それでも大会開始前は繋がりにくくなったりしますね。

 さて、そんな大曲の花火を楽しむためのポイントがあります。(ちょっと大仙市の宣伝マンみたいになってしまいますが)
 1)花火の制作から打ち上げまでを体験する施設が、はなび・アムです。花火大会当日、または大仙市を訪れた時にちょっと寄り道してみてはいかがでしょうか?
 2)花火鑑賞の事前解説会(市内数か所:大曲技術専門校他:今年開催するかは???)
 3)今年は会場で食べ物の屋台は無いとのことですので、入場前に調達願います。
 ※おすすめプログラム:いうまでもなく大会提供花火と県民歌付フィナーレ花火、個人的には割物花火(三重芯~五重芯)

ちょっと脱線気味なので、当社の過去の取り組みについて紹介します。
インターネットが一般に普及し始めたのは、Windows95発売以後になります。1997年の大会では当社で大曲の花火をインターネット中継しています。
当時はネットカメラやスマホなんてものはありませんでしたから、かなり大がかりな仕掛けが必要でした。
まずは会場・堤防上に電源、専用回線を臨時で用意し(INS64:懐かしい!)、会社の車を持ち込み、中にネットワーク機器・パソコンを数台繋げ、配信サーバを構築。軽トラの荷台にカメラを三脚に設置し、軽トラの横には "インターネット生中継!" の横断幕。
まだNHKのBS放送前でしたので生中継は唯一のメディアでしたが・・・それから25年、時代は変わり今ではスマホだけでSNSのライブ中継が簡単にできますよね。
当時は当社のインターネット関係の高い技術力をお披露目できたシーンでした。

今では全国の花火大会のTV中継もあり画面を通して楽しむこともできますが、デジタル技術で花火会場を歩くアバターで屋台を楽しんだり、花火を見たりといったこともできるのかもしれませんね。
また花火のTVで伝わらないものとして"空気と匂い"があります。花火が開くとかなりの"振動"を感じますし、火薬の匂いを感じます。
これからの新しいTVには振動や匂いを感じられる機能を期待したいですね。かえってYouTubeとかのほうが早く開発されるかもしれません。

花火はまだまだシーズン真っ最中です、楽しみましょう! もうアナウンスが聞こえて来るようです。
"ダイ~イチゴウ~ ノボリキョクドウツキゴエシンヘンカギク・・・"(昇曲導付五重芯変化菊)

大曲の花火 全国花火競技大会
https://www.oomagari-hanabi.com/
花火伝統文化継承資料館 はなび・アム
https://hanabimuseum.jp/

<DXにお困りの方はこちらへ!>
エイデイケイ富士システム(株)
地域情報ソリューション課 地域営業担当
TEL:018-838-1173

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あきたDX通信>>>>> 編集長 伊嶋謙二 /// 編集スタッフ 伊藤真弓 /// 主幹:鈴木守 /// エイデイケイ富士システム株式会社 DXセンター

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