2023/06/08

【No.68】満足度調査にはご用心!

※MA:マーケティングアドバイザー いがらし部長:営業部の責任者
 真弓課長:弊社のやり手マネージャー兼SE

MA
先週、埼玉県にある自治体に取材に行ったんだけど、実に面白い話が聞けたんだよ。
真弓課長
ああ、知ってます。市役所の窓口業務などで自動化できればいいなっていうことで、弊社が提案して採択されたあの自治体さんですね。4.5年前に公募があって、提案して採択されたんですけど、その後も導入部門から、他の現場部門に拡大している事例ですね。
MA
そうそう。この事例では2つの重要な気づきがあったんで、紹介するね。まず第一が、当たり前なんだけど、ITとかツールをとりあえず導入してみるかとではなく、「何がしたいのか?何を目標としているのか?」の明確化なんだね。
真弓課長
DXの本質的な要件のような話ですね。デジタル化というよりも、トランスフォーメーション=何をするのか?変革するのは何か?を明確化するということですね。この自治体さんの場合は、窓口業務は、実際は窓口に来られた市民の方は、記入の仕方や内容の確認やチェックといった作業に時間を取られることが多いと言ってました。
MA
つまり実際の窓口で対応する担当者と市民の方とのやりとり時間は書類などの作成などに時間を取られる。窓口業務の生産性を高めるというようなことではなく、窓口に来る市民の方への「人としての対応の充実」を図るために、様々な書類作成や記入の確認などを自動化すれば、実際の窓口担当者と市民の方との「人として対応する時間=サービス」を充実できるためだとしているんだね。
いがらし部長
まさに主機と補機(本業とそれを助けるサポート)の関係だね。
つまりデジタル化というのは、人が人として行うべきことのサポート、支援するためのツールとして裏側の役割であるということを忘れてはいけないということですね。
今の生成AIの論議とも似ている。ChatGPTの論議でも言ったけど、人の仕事を奪うという直截な話で盛り上がるのではなく、このような本質的に我々が人としてのサービスを行えるツールとして提供するんだということを理解したいね。
MA
そうね、そして、我々はお客様や社会にきちんと、このあらたなITやツールをその功罪を含めて正しくそして丁寧に提案、説明し続けることがとても重要なんだよね。
いがらし部長
もちろんそうですね。売れればなんでもいいということではないですよ。
導入されたユーザの会社や組織が満足してもらえる、提案されたシステムやサービスをうまく利用して頂くことが最も重要ですから。そして我々も収益を得られれば、さらに良い関係を継続できますから。そうやって、提案先のエリアの経済圏が潤って、さらに盛り上がることが目指すことです!
MA
はは、いいね。
そういうエコシステムを構築することはどこの地域でも不変の理だね。やりがいがあるけど、日々学習と研鑽を積まなければね。

「不満がないのが、危ない」

MA
そうそう、さきほどの自治体のかたの気づきポイントの2つ目なんだけど、「不満がないのが、実は危ないかも?」ということなんだ。
真弓課長
えー、それはなんでですかね?「不満がないのは、満足している」ということでは?
役所の現場担当の方は、日々の業務に満足しているということだったらあまり問題にならなくないですか?
MA
ああ、それはね、誤解を恐れずに言えば、満足度調査ってどう見るかということなんだ。
真弓課長
どういうことですか?詳しく教えてください。。。
MA
つまり、良い調査結果を得たいと思えば、回答の設問次第で、満足度は高かったという結果を導き出すことは可能なんだよね。
真弓課長
えー、それって、まずくないですか?MAは調査のプロなのに、そんなこと言っていいんですか?(笑
MA
いやいや、調査には、必ず、調査設計、要綱が示すことが必要で、その調査はどのような調査方法で、どういう対象に実施したかを必ず示さねばなりません。むしろそれを明示しない調査結果はあてにならないとみなすべきだ。そういう前提で、調査設計をみれば、その調査結果の確かさや偏りは、客観的な結果だと思ったんだけど、実際は主観的な導きの場合もあるなと思った方がいいということ。
真弓課長
そうか、調査結果が正しいかどうかというより、どういう調査条件での結果かを冷静にみるべきなんだということですね?
MA
そうそう、つまり調査結果が「正しくない」というより、前提となる条件を分かったうえで調査結果を見るか、ということがとても重要なんだよね。
真弓課長
それと先の市役所の「不満がないのは、必ずしも満足しているというわけではない」にどう結び付くんですか?
MA
ほう、まだ分からないかな?(笑
真弓課長
うーん、思ったんですが、役所内で、業務についての満足度調査を行ったんだけど、概ね大きな窓口業務での不満がなく、その結果をみれば、特に問題なく、満足度が比較的高いように思えた。でも、実際はそうではないかも?ということでしょうか?
MA
そのとおり!まず正解だね。
当初導入した庁内のIT部門の効果が思いのほか明確に表れて、庁内展開を図ろうと他の現場部門に対して部門記名による自動化ツールに対するアンケートを行った。しかし実際には「現状さほど業務に課題を感じないし、不満も多くない」という結果になったようなんだね。
いがらし部長
なるほど、これが満足度調査結果の読み方につながるわけですね。さほど現状に不満がないという結果になったのが、このIT部門方々は違和感を覚えたということですね。
MA
そうそう、そこで再度今度は無記名で、
「窓口業務で困っている、課題と思っていることがあれば、なんでも答えて」
というITや自動化ということは指定せずに、自由に書き出してもらったら、多くの反応があって、それをもとに、具体的に対応するべきシステムやサービスを展開し始めているということ。
現状では、うちのサポートもありつつも、役所内のスタッフを中心に自律型のRPA化が進んでいるということなんだよね。
いがらし部長
2つ目のポイントは「不満がないのは、必ずしも満足しているわけではない」という結論でしたっけ?
MA
追記すると「課題に気が付かない、あるいは、課題が解決できるかどうかが分からない」ということで、「不満がない」と答えている可能性が高いので、この役所さんでは、積極的にこの効果を現場部門に告知、知らせ続けていることを加えておきますね。課題とは何かに気が付いてもらうために
真弓課長
自分も関わったお客さんから学びが多いですね。また頑張りますー

故近藤和生会長を偲び

メルマガをご購読いただいている皆様、お久しぶりです。営業の五十嵐です。
今回のコラムは、先月5月14日に亡くなった、弊社の前代表取締役の近藤和生会長(※)について、故人のご冥福を祈りつつ、 会長の想い出について書かせていただきたいと思います。
(※弊ホールディング会社のADKGr(株)の会長。以降、会長と記させていただきます)

このメルマガを購読されている方の中には会長をご存じの方もいらっしゃると思いますが、ご存じない方は申し訳ございません。
前の秋田県情報産業協会の会長でもありましたので、業界ではご存じの方も多かったと思います。
おそらく内から(弊社内から)見る姿と、外側から見る姿では、大分印象も違うのかなとも思うのですが、 私の印象はとても厳しいけれども社員を許す優しさを持った方でした。

恥ずかしながら、私は過去いくつもの失敗を重ねている自負(?)があり、当時社長だった近藤会長の執務室に呼ばれ、 厳しくせっきょ・・・ご指導いただくことも何度かありました。最後には結局「次はちゃんとやれよ!」的な終わり方で、笑って許されて社長室を後にするのですが、その度にいつかは完全に認めさせてやるという気持ちにさせられたことを覚えています。結局最後までその思いは叶いませんでした・・・。社内ではある種カリスマ的な方でしたので、他の社員も似たような気持ちを持っていたのではないかと思います。

話は変わります。私は4年ほど前から上司に誘われてゴルフを始めました。
弊ADKグループでは、春と秋の2回ゴルフコンペを社員親睦場として開催しており、会長と同じ組でコースを回る事も何回かありました。ゴルフ場で見る会長は普段会社で見る姿とはまた違った御姿(おしゃれ番長です)で、また仕事以外の会話というのも、弊社代表取締役を退任した後はなかなかする機会がありませんでしたし、突然こんな形となってしまい、今となっては非常に貴重な時間だったなと改めて思います。
一緒に回った時に言われた「五十嵐、ゴルフも仕事もたまには回り道が必要だ!」の御言葉は一生忘れません会長!

また話は変わります。実は、会長が弊社ADK富士システム(株)の代表取締役に就任した年が、(確か)私の入社年と同じなのですが、当時の会長の年齢に私も追いついてしまいました。当時の会長の貫禄や言葉の重みなど、ほぼ同年齢になった自分にはあるのだろうかと改めて自問してみるのですが、なかなか追いつけるものではありませんね。
会社員としての年数を重ね、管理職となった今、自部門に対して今後歩むべき道や目標を提示して引っ張っていく立場にありますが、現在の正確な認識と把握に加え、将来を予測した上でこれらを提示していくのは非常に難儀なことです。今になってしみじみと「あー成程そういう事か...」と思うのは、このクラウドサービス全盛と言っても良い世の中への移り変わりです。
弊社で毎年10月に行われる全社キックオフ会議では、社長はじめ各部門の戦略や目標を全社員に対してプレゼンする機会があるのですが、10年以上前から「ソフトウェアは所有から利用へ変わっていく」と、弊社においてもビジネス変革が必要であるというお話をされていたと記憶しています。そこで、ちょっと当時のキックオフ会議の資料を弊社ライブラリから探して見返してみました。そこにはクラウドビジネスが明確に記載され、また次世代への事業の継承についても、しっかりと書かれてありました。
今現在の弊社の姿が会長の思い描いた会社像に本当に近づいているのかは、もう確かめる術はありませんが、間違いなく当時描いた絵に近い形で弊社のビジネスは進んできております。しかし私達としてはこれからがビジネス変革の本番という気がしています。

想い出エピソードの最後は、冒頭で「営業の五十嵐です」と書いてある通り、私が「営業」であることを意識したのは会長の電話での一言がきっかけというお話です。私は入社以来SEで、そのことに自負も持っていました。
当時39歳だったと思うのですが、初めて自分の部署を受け持ち、変わらず自身がSEであるという認識でいました。ところがある時電話で、進行中の案件についてお叱りをいただいたことがあったのですが、その際「五十嵐、そこは自分が営業としてどう考えてるんだ!」という言葉で、目からうろこと言っていいのか、晴天の霹靂と言っていいのか、『ああ、俺は今営業だったんだ・・・』と、気づかされたのでした。私はそれ以来10年以上営業やってます!

さて、思いつくままに書かせていただきましたが、世の中はDXというキーワードで、さかんに変革を訴えており、お客様の姿も短期間で変わろうとしています。前述した10年前にはここまで想像していなかった、ChatGPTをはじめとする生成AIの出現など、新たな技術トレンドも生まれ、我々のビジネスの変革もまだ道半ばと認識しているのですが、弊社もデジタルの専門家として、お客様と地域にしっかりと貢献できるようにビジネスを進めていかなければなりません。
会長にご指導をいただく事はもうできませんが、キーワードは変わりつつも会長が社長だった時代から掲げていた「ITによる地域貢献」を、(会長が天国で見守ってくれていることを願いつつ)これからもしっかりと果していきます。

最後に故近藤和生会長のご冥福を祈りつつ、本コラムを締めたいと思います。
  会長これまでのご指導ありがとうございます。どうぞ安らかにお眠りください。

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あきたDX通信>>>>> 編集長 伊嶋謙二 /// 編集スタッフ 伊藤真弓 /// 主幹:鈴木守 /// エイデイケイ富士システム株式会社 DXセンター

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