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2023/07/06
今回は温故知新の回として、過去の編集長の執筆した原稿で、多くの賛同を得られた原稿を一部加筆、編集した「問題作」を2023年版として書いた。
企業は、IT/DXに頼らざるを得ないのか?
いきなりだが、本当に企業活動にIT/DXは必須なのか、という世間で言われている前提を疑ってみることを真剣に考える時期が今かもしれない。さらに「IT/DXを有効活用できる、新たなビジネスチャンスが生まれる」という「IT/DX幻想論」を立ち止まって考える時かもしれない。
IT/DX活用の有用性を可視化=見える化(誰がこんな言い方をしたのか分からないが、IT/DXがいかに現実感、有難さが実感できないということを露呈しているだけのこと)する、という響きのいい評判に惑わされてはいけない。
「IT/DXで経営はよくなる、よくなっているの?売上は伸びているの?無駄なお金は使っていないの?」なんていう当たり前の効果を数値化するに過ぎない。
しかしIT/DXが便利で、優れたツールであることは否定しない。誤解があるとすれば、特に多くのIT/DXを上手く使いこなせない企業やヒトがIT/DXの現実の役割に気付かなければならない。企業のビジネスコアをどれだけ磨くか、差別化できるかということを常に優先して考えなくては本末転倒になってしまう。企業はその企業たりえる商品やサービスというコアを展開することなしには、今後は市場競争を乗り切ることが極めて困難な時代になるだろう。
また多くの販売店、ベンダー、IT関連団体、メディアなどからの喧伝にも関わらず、企業が経営課題を解決するためにIT/DXを有効に活用できているとは必ずしも言えない状態だ。結局のところ、いくらITのリテラシーを磨いたとしても、経営に役立つ使い方ができなければ意味がない。
IT/DXが企業活動の追い風になる可能性は高い
ただしよい兆候もある。実はクラウドやDXを代表とする新たなITの要素技術は、ある意味大きな経済活動の革命を引き起こす機会をもたらすことになるだろう。クラウドなどのサービス化や外部へのソーシング、つまり「利用する」という傾向は否応なしに強まることは確実だ。
誤解を恐れずに言えば、最も有益なツールがIT/DXであることは疑いのない事実であることを前提に2023年の重要なメッセージは、IT/DX関連でいえば逆説的に「アンチIT/DXのすすめ」が重要ということになる。本当にアンチなのではなく、優先度と重要度が違うという指摘だ。それを踏まえて、次の3点をポイントとしてあげたい。
1. 企業コアを知る
コアビジネス、企業の強み、特徴、差別化でもいいが企業や分析でも何がコアコンピタンスで強みなのかを知る。企業はビジネスコアを把握し、どう展開するか?
2.単純化する
企業の本質を見極めた上で目的を単純にして、実践する。ニーズの多様化や競合などの動きに合わせて軸がぶれて複雑化することで、本質が見えにくくなる。何をやっているか分からず、得るものは少ない。例えば主力製品をより高い価値で提供することがビジネスコアであるならば、より効果の高いプロモーションや販売戦略を行うことが必須だ。単純化した目的に対して多くの企業はうまくIT/DXを活用できているのであろうか?
3.継続する
あるレベルを維持していく、そして継続することが重要。例えば顧客との関係性でも、継続性のある製品、サービスを供給することでその企業の製品や価値が認められる。ステータスを得られる。企業は、コアを継続するだけの「意志と体力」を持ち続けること。簡単ではないが、1. 企業コアを知る、2.単純化する、この2つの実践を経て、3.継続するための最大限の努力を行う。資金や人 的リソースに見合った方法は必ずあるはずだから。
この3点に集中することがプライオリティである。そこにツールとしてのIT/DXが生きるはずだ。企業の信頼性、製品やサービスの差別化を図るためにIT/DXをうまく使えるかどうかは、販売店やベンダーによる啓蒙や提案だけでは十分ではなく、企業自身がコアビジネスを理解して、企業活動を継続しなくてはならない。
IT/DXよりも重要なのが企業のレゾンデートル※
現状のIT/DXが企業経営になくてはならないほどプライムな状況は、実はまだ一部に過ぎない。
IT/DXで何とかなるという幻想は捨てるべきだ。IT/DXを人並みに使うことは普通であり、利用するだけでは差別化にはならない。優れたコアを生かせるツールとしてIT/DXを使った企業がその恩恵に預かることができる。
少ない経費で多くの効果を得られるという実利を優先させるならクラウドサービスなどのツールを利用すればいい。業務アプリケーションをカスタムメイドで構築して、高い運用費用を掛けているシステムをパッケージソフトにダウングレードしても問題ないかもしれない。場合によっては新たなITシステムの導入せずとも既存のシステムの見直しだけでもいいかもしれない。つまり、コアビジネスに関係ないIT/DX部分の投資を極小化して、余裕が生まれたIT/DX投資を企業コアをドライブさせる目的に活用すればいい。
そもそも「はじめに企業経営にはIT/DXありき」を疑ってみるべきかもしれない。考えてみればオンプレ(コンピュータを社内に設置して運用管理、利用する)にインターネット活用を始めたときには、ネットワークの管理、運用の重要性やセキュリティのことをどれだけ大変かを明示されていなかったはず。正確には提案するベンダーやSI企業も「そんなことになるとは本当のところは良く分からなかった」というのが本音だろう。
それが今や「IT/DXのセキュリティや運用管理こそが重要」という、売り手側にとっては自ら新たなビジネスを生成させている思惑でユーザ企業は振り回らせてしまった。
ユーザ企業にとっては、取引関係や自社の経済活動で起きつつある現象、つまり身近に見えていることこそが物事の本質であり、バズワードや売り手側の甘言に右往左往せずに、先の3点を経営の軸に置けば、自ずとすでに起きつつある変革、2023年にはどう対応すべきかの道筋が見えてくるはずだ。
企業にとってのIT/DXは、最後に選定し決定すべきツールとして考えるべきものである。
つまりは、そのようなサポートをし続けることが、我々のようなSI企業の役割であり、
「初めにIT/DXありきではなく、企業コアとは何か?」
をユーザ企業へ語り掛け、提案を行う事を、今までの反省も含めて、これからも愚直に進めたい。
※レゾンデートル=存在意義
こんにちは。エイデイケイ富士システムの信太です。
今回は最近改めて注目されている、皆さんご存じの「ノーコード/ローコードツール」について書きたいと思います。
【ノーコード/ローコードツール】
ノーコードはプログラミングを行わず、アプリケーションをすべてGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)で開発する手法のことで、ローコードは高度なプログラミング知識を必要とせず、GUIと最小限のプログラミングでアプリケーションを開発する手法を指します。
ノーコード/ローコードツールは決して新しいものではなく2010年頃から知られるようになったようですが、最近改めて注目されています。
ノーコード/ローコードツールが再注目されている理由は、
(1) IT・デジタル人材の不足
(2) DXの普及
と言われています。
2030年にはIT・デジタル人材が79万人も不足するという予測が経済産業省から発表され、また、昨今のDX普及により各企業がシステムの内製化を加速化させている状況で、高度なプログラミング知識を必要せずスピーディーに開発を進められるノーコード/ローコードツールが解決手段として期待されています。
弊社内でも社内システムからデータ抽出・集計・加工してノーコード/ローコードツールへアップロードし、他の情報と統合して見える化する仕組みをRPAで自動化し運用しています。
【メリット/デメリット】
メリットは
(1) 技術的なハードルが低い
(2) エラーやバグが起こりにくい
(3) 開発期間の短縮
(4) 安価で開発できる
があげられます。
各ツールで用意されたパーツを画面上でドラッグ&ドロップしていくことで、専門的なスキルがなくてもシステム開発が可能です。
また、プログラムを記述して初めから開発する場合と比べると、ほとんどエラーやバグが起こらず、安定性の高いシステムを構築することが可能で、開発期間も大幅に短縮でき、コストメリットも出ます。
デメリットとしては
(1) 自由度や拡張性が低い
(2) 大規模開発には向いていない
(3) プラットフォームへ依存するケースが多い
があげられます。
最大のデメリットは「自由度や拡張性の低さ」です。
メリットで記載した「パーツを画面上でドラッグ&ドロップしていくことで開発できる」の裏返しですが、パーツが対応していない機能は利用できません。ツールにはプラグインによる拡張機能もありますが、スクラッチ開発と比べると自由度ははるかに低いものとなります。
スクラッチ開発では極端に言えば「どうにでもなる」ことが、ノーコード/ローコードツールでは限界があり、大規模なシステム開発には不向きです。
開発するシステムの規模や将来的な拡張予定、予算、社内のIT・デジタル人材育成等々を考慮して、ノーコード/ローコードのメリット、デメリット、ツールを利用する際の注意点などを参考に自社の業務に活用していければよいと思います。
☆☆☆業務アプリ作成ノーコード/ローコードツールのご紹介☆☆☆
【kintone】・・・業務用WEBアプリ作成
様々な情報を集約し管理・共有する基盤として、WEBデータベース型の業務用アプリを構築できます。機能拡張用プラグインも多数存在しています。
【Platio】・・・業務用モバイルアプリ作成
業務を効率化するためのモバイルアプリを構築できます。オフラインで利用することも可能(インターネットに接続し、ミニアプリにログインした状態の後でオフラインになった場合のみ)。
弊社ではシステムのスクラッチ開発からノーコード/ローコードツール導入支援、様々なハードウェアやソフトウェア、DX関連についてもご相談を承っております。お困りごと、疑問などございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
<お問合せ先>
DXセンター 地域営業担当までお申し付けください。
TEL:018-838-1173
Email: dx-lab@adf.co.jp
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