2023/11/30

【No.80】思考停止で立ち止まってしまう企業、やるべきことは何か?

あきたDX通信編集長 伊嶋謙二

いつの時代でも変わらない国内企業数の構成比としては、国内の企業の9割以上が中小零細企業である。これから先もこの構成比は変わることはない(下記URL参照)。そして規模が小さいことに起因する人材の問題や経済的な理由で、先進的な特にIT投資的な動きが取りにくいということももはや、永遠の課題ともいえよう。
https://www.pinterest.jp/pin/400609329347648419/

そしてIT(DX/AI)、うまく使えない企業の理由として
「自分のところはその規模ではない」「社内に人がいない」
という項目が上位に来る。分からないでもないが、その理由の裏側にあるのが「考える時間がない。
それよりも喫緊で解決するべきことがある」からだと思い込んでいることは想像に難くない。
https://rpa-akita.jp/wp-content/uploads/2023/08/ictdx_no4_fin.pdf

きっと日々の営業・販売、製造・生産とか、現実的に大変な毎日を送っていて、キャッシュフローや売上、入金といったお金の面で苦労しているために、新たな仕組みやITを活用して現状を変えていくということに時間を割く余裕がないために、取り組めないというのが、IT(DX/AI)のうまい利活用が進んでいないことが背景になっている。

本当にそんな理由で、現状とんでもない進化を遂げているIT(DX/AI)などの新技術を活用しないというのか? デジタルファーストとか言われて、社会全般がアナログからデジタルへの変貌を遂げている中で、日々の仕事が忙しくて、新たな「酸素」を得られるのに、あえてよどんだ空気を吸い続けるということは決して見逃してはいけないだろう。

世の中は平等と公平という名の精神安定剤的な期待を抱いている企業は多いかもしれないが、現実はそのいずれもが、待っているだけでは、得るものは必要最低限でしかない。それ以上に果たさなければいけない義務(売上、経費、税金など)が企業に大きくのしかかっている。企業の生き残りのための大変さは自分も経営者として今でも実感中である。

時代に合わせて生きる、生き残るということは、時代に合わせるだけの一定のスピードとそれに合わせた技術と体力が必要不可欠だ。企業で言えば、生き残るためのスピードは企業活動の迅速さであり、技術と体力は、新たな仕組み(ITが有力)であり、体力は人そのものであり、企業を動かせるための人の力である。

さて、かつてコンピュータを導入しない理由に「自分の企業がそういう規模ではない」ということが挙げられていた。確かに一昔前は、コンピュータは専任の担当者がいないと運用管理ができない、費用も高額で、なかなか企業として負担が大きくて、コンピュータ導入に踏み切れないという背景があり、導入率が低い時期があったことは確かだ。

しかし、現在はコンピュータのコモディティ化とともに、コンピュータの価格も大きく変化した。というより、パソコンとネットワーク化により大きくコンピュータコストが下がったことに加えて、クラウドの普及によりハードを購入して社内で運用するスタイルからサービスとして月額運用するという活用に大きく変化している。

いわゆるコンピュータは保有から利用というスタイルになり、企業のコンピュータの活用コストは大幅に低くなっている。というより、数年前に導入したコンピュータのシステムで新規に購入することは大幅に少なくなっている。現状は導入済のコンピュータシステムを現状のクラウドサービスと連携、取り込んでうまく使いこなせるかにかかっている。

にもかかわらず、最新のIT(DX/AI)=宝の山のようなツールを使って企業活動に生かせる場面において「自分のところはその規模ではない」「社内に人がいない」ので活用できないというアンケート結果が未だに多い。これはなぜなのか?
その理由は以下の3つが考えられる。
 1.優先度が低い
 2.重要度が低い
 3.成功体験がない
この3つの理由に共通してハードルになっているのが、先に述べたお金とヒトの問題だ。

1.優先度が低い
逆に言えば、優先度が高いのはお金のことになる。目の前の最も大事なのは今日明日の資金繰りなので、目の前の問題に対して、すぐに効果の見えにくい(と思っている)IT/DXについては、後回しにしているか諦めている。それよりもすぐに効果の出る施策を優先する。
2.重要度が低い
IT有効活用などは重要ではないとは思わないが、重要度が高くても優先度が低いと実行しないために、優先度を高める必要がある。
3.成功体験がない
優先度と重要度を合わせて考えてみると、やはり成功した体験、イメージがないために、IT(DX/AI)に真剣に取り組むべき動機づけが低いことだ。効果が明確だと実行に踏み切りやすい。

さて、公平と平等を祈って企業活動をしたところで、民間企業経済活動や公的経済支援(補助金など)は待っていて救いがもれなく訪れることの期待は薄い。おそらく最大の活用の機会が訪れたといえるIT(DX/AI)関連の普及環境が整った中でそれを使い倒すのは今しかない。「自分のところはその規模ではない」「社内に人がいない」、そして「考える時間が無い」ために、すでに使える状態のITインフラ、ツールを企業活動にうまく使えないとして諦める、もはや思考停止と言わざるを得ないだろう。

以前の当コラムでも述べていたように企業、組織にとっての心構えとして「課題を課題と認知する」ような「無知の知」がいかに大切かということを再度述べたい。考える時間が無いのでIT(DX/AI)などの戦力を活用しない理由にだけはしないで欲しい。生き続けるためのツールとしては、体の具合が悪いので病院にいくのと同様に、ビジネス環境を好転するためにIT(DX/AI)をうまく活用すべきだ。分かる人が社内にいないなら、頼るべき外部の人を探す考えるくらいの時間はあるはずだ。当コラムもそのサポートになれば幸いです。

営業メンバーによるお役立ち情報!

今ならまだ間に合う電子帳簿保存法!

皆さまこんにちは。ADK富士システムの相原です。
今回でコラムは5回目となります。今回は差し迫ってきた電子帳簿保存法(以下、電帳法)について書いていきたいと思います。

最近になり電帳法の話題を聞くようになったと思っていましたが、電帳法の歴史を調べてみると1998年に最初の電帳法が制定されていました。今から25年前のことです。1998年といえば、長野オリンピック開催やサッカーW杯に日本初出場、和歌山毒物カレー事件があった年でした。

電帳法が制定された目的は、納税の正確な履行や書類管理の負担軽減などが挙げられそうです。
そうした中で時代とともにスキャナ保存が認められたり、タイムスタンプが義務化されたりしていきました。2016年になりデジカメやスマホで撮影した画像も認められるようになったようです。

日本ではハンコ文化や紙文化など根強く、諸外国にくらべてペーパーレス化が遅れています。
古い文化や習慣を一新し、電帳法の対応を足掛かりに会計業務や経理業務の見直す良いきっかけになるかもしれません。電帳法対応のシステム導入により事務的負担削減だけでなく、なかなかテコ入れが難しい社内フローや基幹システム連携などを見直し社内のDX実現をお手伝いできればと思っています。

さて、ここまでコラムを書いてきましたが、電帳法の改正のポイントをおさらいしたいと思います。

<電子帳簿保存法の改正のポイント>
・事前承認の廃止
 税務署の事前認証が不要になること。

・タイムスタンプ要件の緩和
 電子文書には3営業日以内にタイムスタンプ付与が必要でしたが、今回の改正で最長2か月に延長され、自署も不要になった。

・適正事務処理要件廃止
 スキャナ保存の場合不正防止のためにチェック(相互チェックや原本による定期検査)が必要でしたが、今回の改正ではこの相互チェックや定期検査の要件が廃止され、スキャナ保存後にすぐ原本を破棄できること。

・検索要件の緩和
 検索要件が今後は「年月日」「金額」「取引先」の3つの条件に緩和されること。

・システム要件緩和と優良保存認定制度
 改正前は保存要件が詳細に定められていたが、
 改正後は最低でも3つの要件(システム関係書類などの備え付け・見読可能性の確保・税務職員による電子データのダウンロードに対応)を満たせば電子データ保存が認められこと。
 又これまでの詳細な保存要件および検索条件を満たしている帳簿は「優良電子帳簿」に認定され、過少申告加算税が5%免税されるインセンティブが整備される。

<電帳法の主な保存区分>
①電子帳簿等保存【希望者のみ】
 ご自身で最初から一貫してパソコン等で作成している帳簿や国税関係書類は、プリントアウトして保存するのではなく、電子データのまま保存ができます。
 例えば、会計ソフトで作成している仕訳帳やパソコンで作成した請求書の控え等が対象です。
②スキャナ保存【希望者のみ】
 決算関係書類を除く国税関係書類(取引先から受領した紙の領収書・請求書等)は、その書類自体を保存する代わりに、スマホやスキャナで読み取った電子データを保存することができます。

③電子取引データ保存【法人・個人事業者は対応が必要です】
 申告所得税・法人税に関して帳簿・書類の保存義務が課されている者は、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データをやりとりした場合には、
 その電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません。
 
(国税庁HP 「令和5年度税制改正後の取扱いに関するもの」より引用)
電子帳簿保存法の事務的負担を減らすための市販ソフトが多数あります。
国税庁のHPには「電子帳簿ソフト法的要件認証製品一覧」として記載されています。導入に関してはお気軽にご相談ください!
https://www.jiima.or.jp/certification/denshichoubo_soft/list/

営業的な目線では、インボイス対応のドタバタに比べ、電帳法への対応については若干置き去りにされている感触が肌感覚としてあります。
アナログ(紙)からデジタルへの転換という直接的な業務のデジタル化と、その先のDXへとつながる対策でもあり、取引先都合により、積極的な対応を求められるケースも益々増えてくるのではないでしょうか。
弊社では、電帳法をはじめ、さまざまなDX実現のためのソリューションをご提案しております。
お困り事がございましたら、お気軽に弊社までお問い合わせください。

<問い合わせ先>
エイデイケイ富士システム(株)
DXセンター DX担当まで
TEL:018-838-1173

---------------------------------------------------------------------------------------
あきたDX通信>>>>> 編集長 伊嶋謙二 /// 編集スタッフ 伊藤真弓 /// 主幹:鈴木守 /// エイデイケイ富士システム株式会社 DXセンター

Copyright(C)、エイデイケイ富士システム株式会社、掲載記事の無断転載を禁じます。

一覧を見る