2025/05/22

【No.117】「お任せDX」からの脱却を──秋田だからできる5つのDX視点

※MA:マーケティングアドバイザー かわもと部長:次代のホープとされる今風の営業部長
真弓課長:企画部のやり手マネージャー兼SE

かわもと部長
秋田県がソフトバンクやグーグル・クラウド・ジャパンとDXに関する包括連携協定を結んだ、というニュースが注目を集めていますね。こうした大手企業との連携は、全国的にも各地で進んでいる取り組みの一つであり、ある意味では今の時代のスタンダードとも言えますね。
その意味で、今回の発表を聞いて「いよいよ秋田も動き出した」と前向きに捉えた方もいれば、「こうした動きは他県でも既に見られる」と、落ち着いた視点で受け止めた方もいたかもしれません。
真弓課長
そうですね。前知事の頃から準備は進めていたんだと思いますが、知事が交代して間もない時期の発表だったので、新しい県政の方向性に期待を感じた方も多かったのではないでしょうか。ちなみに、今回の発表内容について、ChatGPTで要約してみましたので、ご紹介しますね。

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秋田県は、人口減少や高齢化といった地域特有の課題に対応するため、2025年5月14日、ソフトバンクおよびグーグル・クラウド・ジャパンと包括連携協定を締結しました。県庁で行われた締結式には鈴木知事をはじめ両社の関係者が出席し、知事は「民間企業の知見を借りてDXを推進することは不可欠」と語りました。協定の内容は、住民の困りごとの解決、県庁内の業務効率化、リモートワーク推進など6つの重点項目を中心に据え、今後は具体的な施策の検討に入る予定です。

秋田県がDX推進で地域活性化へ 大手IT2社と連携協定|NHK 秋田県のニュース

MA
今回の連携は、大手企業が有する高度な知見や技術力を地域の取り組みに活用しようとする姿勢は、積極的に評価されるべきものだね。
一方で、こうした協定が形式的な合意にとどまり、実質的な展開に至らない事例が全国に少なくないのも事実。そのような事態を避けるためには、地域の実情に即した視点や、現場の課題を丁寧に捉えたアプローチが不可欠だと思う。
今回の連携を機に、秋田らしい実効性のある取り組みが進むことを願うばかりだね。それで、本件について簡単なレポートをまとめたので、紹介しておくね。


秋田だからこそ取り組めるDX──5つの視点から考える
――地域発・現場起点の変革をめざして


この短文のレポートは、地域DXに通じた自治体関係者、民間のIT企業、教育関係者等から得たコメントなどをもとに、「秋田だからこそ実現可能なDX」とは何かを探るための5つの視点を以下に提示する。


1. 地元IT事業者との共創型連携を軸とする
秋田県内には、地域に根ざしたIT企業や自治体職員、NPO(たとえば一般社団法人秋田デジタル利活用推進協会)など、すでにDXに取り組む主体が存在する。これら地元の担い手と連携することが、現場に即した制度設計の鍵となる。外部企業に「委ねる」のではなく、「共に考え、ともに動く」姿勢が求められる。

2. 「暮らしの困りごと」発のDXを起点とする
DXは目的ではなく手段である。ゆえに、高齢者の移動手段確保、若者の孤立、買い物弱者への対応といった、秋田特有の生活課題を起点とすることが重要である。その際には、住民の声を丁寧にすくい上げ、小規模なプロトタイプを地域内で試行できる柔軟な場づくりが必要である。前回の国際教養大学のケースなどもそうだ。

3. 教育と人材育成を地域の中で再設計する
DXを担う人材は、外部の専門家に限らない。むしろ、地元の若者、転職者、U・Iターン人材など、多様な層が主役となり得る。地元大学、職業訓練機関と連携し、地域内で実践的かつ継続的な学びの機会を創出することが不可欠である。単なるスキル教育にとどまらず、地域とのつながりを重視した"共育"の視点が求められる。秋田大学の情報データ科学部などの新設なども端的なケースだ。

4. 行政DXは「中の人」から始める
業務効率化やリモートワークの導入は、行政DXの入口にすぎない。より本質的には、誰が課題を定義し、制度や仕組みを変革していくのかが問われている。現場職員が自ら課題を捉え、変革に挑戦できる風土づくり、権限移譲、慣習の見直しなど、文化的転換が不可欠である。

5. 「県庁発」というより「地域発」のDXへ
県が旗振り役となることには意義がある。しかし、市町村、地域団体、商店街、福祉・医療現場など、地域の最前線から生まれるアイデアや実践を県が支援・後押しする『逆流型モデル』の構築こそが、持続可能なDXの鍵となる。今ある小さな成功例を束ね、磨き上げていくことが『秋田モデル』創出の出発点となる。今動いている「秋田県DX推進ポータルサイト(AKITA DeX)」なども有効なツールである。

MA
とまあ、以上の5視点は、単なる「D=技術」導入ではなく、地域の構造的課題に向き合い、新たな価値を創出する「X=トランスフォーメーション」の方向性を示すもの。秋田という土地の特性、人材、文化を活かしたDXこそが、地域の未来を切り拓く原動力となるはずだとまとめてみた。
かわもと部長
たしかに、大手企業との連携はきっかけにはなります。でも「すべてを任せて(委ねて)しまう」という構図では、本当の意味での変革は起きませんよね。問われているのは、どんな未来を描きたいのかという地域のビジョン、そしてそれを誰とどう共有していくかという関係性ですから。
真弓課長
そうなんですよね。秋田には秋田なりのDXの形があると思うんです。その芽を見落とさないためにも、もっと地域の声、現場の声に耳を傾けることが今は求められているのかもしれませんね。
MA
ということで、今回の提案は県庁のDX連携をきっかけに、秋田県のDX推進にとって「地域とともに歩むための視点」として整理したもの。なので県庁の取り組みに期待しながらも、それを活かすための接点づくりが我々の役割なのかなと。
真弓課長
いいですね。ちなみに、今週5月23日は秋田デジタル利活用推進協会の第5期活動報告会と特別講演もあります。秋田のDXを次のステージへ進めるためにも、こうした場を大事にしていきたいですね。

営業スタッフ徒然草

やっぱり便利!旅で感じたデジタルサイネージの魅力

こんにちは。エイデイケイ富士システムの中野です。
先日のゴールデンウイーク、私は初めての新潟旅行にいってきました。
新潟駅を中心にバスを利用しながら旅を満喫する中で、新潟駅バスターミナルの「デジタルサイネージ」が目に留まった為、今回はそちらについて書きたいと思います。

調べたところ、新潟駅バスターミナルは2024年3月31日に開業しており、70面の電子掲示板(デジタルサイネージ)が設置されているそうです。バスターミナルに集約されている各バス乗降場には、それぞれデジタルサイネージが設置されており、とてもスマートな雰囲気を感じました。

いざ目的の乗降場のデジタルサイネージを見てみると、系統番号や運休、最終便の情報が一目で分かるようになっているほか、多言語での運行情報の表示もあり、多様な利用者・来訪者に優しいデザインになっているのが印象的です。

また、デジタルサイネージには広告も表示されており、紙の掲示物がデジタル化されているため、情報が常に最新の状態で提供されているほか、風や湿気等によって紙の掲示物がボロボロになったりせず、ごみが出ることも無いため、環境と管理の面でも利点が多いと感じます。

そんな、スマートなデジタルサイネージのおかげで、初めて訪れた私でも迷うことなくバスに乗ることができ、行ってみたかったパン屋さんや朱鷺メッセなど、新潟市内を楽しむことができました。

余談ですが、初めて食べたご当地グルメ「タレかつ」がとても美味しく、夜・朝のビュッフェ・昼と3連続で食べてしまいました。お店によって異なるタレの味が面白いなと思いながら、飽きることなくタレかつ巡りをしてしまいましたが、今になって、もう少し他のグルメも堪能すればよかったと少し反省しています。

今回は行けませんでしたが、有名な万代そばの「バスセンターのカレー」がある万代シテイにも、様々なデジタルサイネージが設置されているそうです。中にはデジタルサイネージにAIカメラを設置し、通行人数や来客の属性などのリアルタイムデータを取得・解析して、マーケティング最適化を図るものもあるそうなので、また新潟に訪れた際には、万代シテイのバスセンターのカレー・デジタルサイネージにもいってみたいと思います。

秋田県内においても、秋田駅中央改札口に70インチの大型ディスプレイによる7連のデジタルサイネージが設置されているなど、デジタル技術を通じて多様な利用者・来訪者に向けた公共交通機関の利便性向上が進められていますが、やはり訪れる人々にとって分かりやすい案内があると、より快適に楽しめることを今回の旅で実感することが出来ました。

弊社でも、秋田県内の駅のバス時刻表やお客様の業務向けのデジタルサイネージを導入した実績があります。 最新の情報が常に見えてくることで、業務の効率化や顧客満足度の向上が期待できることもありますので、是非お気軽にご相談ください。


<DXやデジタルに関するお問合せ先>
エイデイケイ富士システム株式会社 DXセンター
DX担当まで
Tel:018-838-1173
Mail:dx-lab@adf.co.jp

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