2026/01/22

【No.134】スポーツの現場に表れた「人とAIのあいだ」のDX

※MA:マーケティングアドバイザー かわもと部長:次代のホープとされる今風の営業部長
真弓課長:企画部のやり手マネージャー兼SE

---「今回の会話のポイント」---
全豪オープンテニスをきっかけに見えてきたのは、スポーツのジャッジにおける「人とAIの役割分担」が、すでに現実的な段階に入っているという事実です。テニスや野球ではAIが判定の根拠を担い、人は試合全体の流れや説明責任を担います。一方、バドミントンのように人とデジタルが混在する領域では摩擦も生じる。この移行期の混沌こそがDXの本質であり、企業や自治体の現場でも同じ構図が広がっています。完成形を急ぐより、違和感に向き合うことが次のDXにつながる、ということのご参考になれば。
--------------------------------------------------------

■ テニス・バドミントン・野球に共通する移行期の混沌

MA
今、全豪オープンテニス中継を流し見しながらなんだけど、改めて思うね。以前にもこの話題出たけど、テニスの試合の判定って、さらにAIが前に出てきているね。
今回見ていて分かったのが、ネットのポールが赤く点滅するときがあるんだ。なんとライン1センチ未満の微妙な判定の際に、アウトの場合のみ赤く点滅するみたいなんだ、即座に。だから選手はすぐアウトとわかるので、クレームが少なく、試合もスムースに進み、時間も短縮できるということらしい。いやー、びっくり。
かわもと部長
そうですね。微妙なライン判定をAIが行うのですから。チャレンジ(※)の必要のない大会が増えてきました。結局同じ判定システムで同じ結果がでるわけですから、チャレンジの意味がない。アウト判定された選手は面白くないでしょうが(笑

(※)機械判定で再度チェックの要請
真弓課長
選手も、以前ほど抗議しなくなりましたね。「入った、入らない」はAIが即座に示してくれる前提になっていますからね。
MA
そこが象徴的なんだよ。AIに「任せている」というより、人の判断のあいまいさをAIが補完する、という役割分担が、かなり一般的になってきた。それを人が良しとする状況になりつつあるということだね。
かわもと部長
そういうことなら、テニス以外でも結構増えました。特に野球も同じ流れですね。ストライク・ボールの自動判定、いわゆるABS (※)も、もう実証段階を越えて、実運用が視野に入っています。

(※)ABS=Automated Ball-Strike System
MA
そうそう。ただ、面白いのは、すべてが一気にAI化されているわけじゃない、という点なんだ。
真弓課長
先日テレビで、地元の志田選手の試合を見ていて気が付いたんですけど、バドミントンがまさにそうでしたね。イン・アウトはホークアイ(※)というんですよね、でかなり正確なのに、サービスの高さ判定はいまだに「1.15メートル以下」を人が目視で判断している。サーブを打った位置が高すぎるということで、フォルトを取られて不服そうな感じでした。

(※)カメラを使用して打球のイン・アウトをミリ単位で判定するコンピュータシステム
MA
ほほう、良く気が付いたね。あれは選手からすると、かなり不満が溜まりやすい。「さっきサーブ打った時はOKだったのに、なぜ今回はフォルト?」という感覚になる。というのも人の目による判断になってくるからね。
かわもと部長
デジタルとアナログが混在している境目が、クレームの発生源になるわけですね。ヒト=アナログによる判定になる部分ですね。
MA
その通り。これはスポーツだけの話じゃない。企業のDXでもまったく同じことが起きている。
真弓課長
ふんふん、そうですね。一部はシステム化されているのに、最後は紙、Excel、人の勘、というパターンですね。つながった話になってきました。
MA
そう。部分的には前進しているのに、全体最適の視点では、一部が前のままなので、そこがボトルネックになる。結果として「デジタル化したのに楽にならない」という違和感が残る。
かわもと部長
でもAIの精度が上がれば、全部AIに任せればいい、という話でもないですよね。
MA
そこがDXの誤解されやすいところ。DXは「人を排除する話」じゃない。人とAIの役割分担、つまり両者のエコシステムをどう設計するか、という話なんだ。
真弓課長
スポーツで言えば、最終的な説明責任や試合の流れを管理するのは人で、計測や判定のブレをなくすのがAI、という関係ですね。
MA
まさにそれ。全豪オープンテニスを見ていても、主審がいなくなったわけじゃない。でも、判断の「根拠」は、明らかにAIが支えている。
かわもと部長
完全自動化ではなく、クロスオーバーの段階にある、ということですね。
MA
そうだね、今は、その移行期特有の混沌を、誰もが体感しているフェーズなんだと思う。スポーツは分かりやすいけれど、製造業、流通、自治体、医療、教育、どの分野でも同じ構図が見える。
真弓課長
だから、現場では戸惑いも摩擦も起きるけれど、それ自体がDXの途中経過なんですね。
MA
そう。きれいに完成したDXより、今まさに起きている「うまくいっていない部分」にこそ、次のヒントがある。
かわもと部長
我々の役割も、そこを拾い上げることですね。
MA
見聞きできる変化、体感できる違和感を、専門的な視点で言語化し、外部やユーザーに届けていく。全豪オープンテニスを見ながらDXを語るのも、決して遠回りじゃない。人とAIの関係性を考えるうえで、スポーツは最前線の教材だからね。
真弓課長
了解です、身近に目配せして、さらにDXを活かさなくては!

---編集後記---

真弓課長
全豪オープンをきっかけとする何気ない会話でしたが、スポーツの審判におけるAI活用は、私たちの仕事の現場と驚くほど重なります。デジタルと人が混在する「いま」は不完全で、違和感も多いけど、でもその移行期をどう乗り越えるかがDXの本質だと、改めて感じました。

営業スタッフ徒然草

伴走するIT ・・・ SIerとしての想い

皆さまこんにちは。エイデイケイ富士システムの信太です。
昨年は多くのご支援とご協力をいただき、誠にありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年はミラノ・コルティナで冬季オリンピックが開催されます。
イタリアのミラノとコルティナ・ダンペッツォという二つの都市を舞台に、世界最高峰の選手たちがいろいろな競技で競い合います。

テレビやニュースで目にするのは、その一瞬にすべてを懸ける選手の姿です。
スタートの緊張感、ゴールを駆け抜けたあとの表情、わずかなタイム・点数差で分かれる勝敗など、見る人の心を動かすドラマがありますが、その裏側には映像には映らない長い時間の努力があります。

競技に合った用具を何度も調整し、日々の体調やコンディションを細かく管理し、練習や本番の結果をデータとして確認し、次にどう活かすかを考え続ける。
選手のそばには、常に状態を見守り、必要なときに手を差し伸べる多くのスタッフがいます。主役は選手かもしれませんが、そのスタッフがいなければ、選手が本来の力を発揮することはできません。

私たちSIerも、この「支える側」の立場でありたいと考えています。

ITは、導入した瞬間に成果が数字として表れるものではありません。
業務の中に入り、実際に使われ、少しずつ改善されながら時間をかけて定着していくことで、はじめてその価値を発揮します。
だからこそ、システムを「売ること」だけが仕事だとは思っていません。
導入後もお客様のそばで、一緒に使い続け、変化を見守り、必要があれば立ち止まって考える。
そこまで含めて、私たちの役割だと感じています。

そのために、まず大切にしているのが「話を聞くこと」です。
現場で困っていること、日々の業務で当たり前になっている手間、「何となくやりづらい」と感じている違和感。

すぐに明確な答えが出るとは限りませんが、一つひとつ言葉にしながら整理していくことで、本当に必要なITの姿が見えてくることがあります。

時には、「今はシステム化しない方がいい」という結論に至ることもあります。
無理に形にするよりも、納得できるまで考える。
この姿勢こそが、結果として長く使われるITにつながると信じています。

最新の技術が、常に正解とは限りません。
・流行しているかどうかよりも、今の業務に合っているか。
・現場で無理なく使い続けられるか。
・人が変わっても、業務が止まらずに回り続けるか。


それを見極めることこそ、私たちSIerに求められている役割だと思っています。

オリンピックに向けて、選手の状態に合わせて細かな調整を重ねるように、ITも導入後の伴走が欠かせません。
システム運用の中で見えてくる課題に向き合い、少しずつ手を入れ、整えていく。
その積み重ねが、業務全体の安定や効率につながっていきます。
綺麗事かもしれませんが、「売れたかどうか」よりも、「任せてよかったと思っていただけたか」を大切にしたいと考えています。

ITは、企業活動を長く支え続ける基盤です。
だからこそ、一度きりの取引ではなく、これから先も一緒に走り続けるパートナーでありたい。

ミラノ・コルティナの舞台裏にいるサポートスタッフのように、目立つことはなくても、確かな仕事で選手を支え続ける。
それが、私たちが大切にしている想いです。

弊社は、秋田県内外のお客様に対して、業務改善やデジタル化のパートナーとして伴走支援を行っています。 企業のDX、デジタル化を支援することが、お客様および地域の発展につながると信じています。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。


<DXに関するお問い合わせ>
 エイデイケイ富士システム株式会社
 DXセンター DX担当まで
 Email:dx-lab@adf.co.jp

---------------------------------------------------------------------------------------
あきたDX通信>>>>> 編集長 伊嶋謙二 /// 編集スタッフ 伊藤真弓 澤田亜弓 /// 主幹:五十嵐健 /// エイデイケイ富士システム株式会社

Copyright(C)、エイデイケイ富士システム株式会社、掲載記事の無断転載を禁じます。

一覧を見る